大学英語教育学会     
 
Last updated on May 2, 2005
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39th IATEFL International Annual Conference
及び Associates' Day 報告
 
報告者:村田久美子(国際交流委員会、IATEFL担当、早稲田大学)
期間:4月4日〜4月9日
  Associates' Dinner 4月4日
  Associates' Day 4月5日
  Conference 4月5〜9日
場所:City Hall and National Museum and Galleries, Cardiff, Wales
参加者数:Associates' Day:約70の世界各地の Associates より、43名
及び、IATEFL本部役員
Conference:約1300名
Associates' Dinner
Associates の集まりは4日の夕方 Cardiff, Millennium Dome でのインフォーマルな dinner で開始、翌日の Associates' Day に向けて、Associates 同士とIATEFL 本部役員の顔合わせの役割を果たし、和やかな雰囲気の中で、会が進められた。

Associates' Day
5日は朝9時より夕方の5時まで、IATEFL Hungary の代表であり、Associates' Coordinator でもあるMargit Szesztay を中心に、43名の Associates と新旧会長(新−Tessa Woodward, 旧−Peter Grundy)、及びその他の IATEFL 役員を加え、Associates の役割、責任、Newsletter, WMS(Wider Membership Scheme), SIG, TA(Teachers' Association)の効果的な運営、促進の方法と問題点、Networking の仕方、電子媒体等の有効活用による会員相互間の連絡方法等について Margit Szesztay の見事なコーデイネートの中、密度の濃い,インタラクションの多い討論が行われた。 昼食45分と、午前、午後、それぞれ15分の coffee break も基本的には同じ hall で行われ、意見交換の場となった。Associates' Dayの全体リポートは、近く IATEFL の web にも掲載される予定である。

Conference
Plenary speakers:
Plenary と名がついていても今回は同じ時間帯に Plenary session が2つ企画されており、会場も City Hall と隣の National Museum の講堂の2箇所で、7−8分程離れており、どちらにも出席したい参加者は選択が大変だったようである。筆者自身も特に1日目はどちらの話にも大変興味があり、選択に迷った。結局、新進気鋭の若手研究者であり、最近 idiomaticity と言語習得の分野で興味深い研究結果を次々に発表している Alison Wray 氏の方に出席、Amy Tsui 氏とは後ほど、個人的に意見交換をする機会を持つことができた。2日目は Canagarajah 氏が postmodern globalization の中での英語の多様化と英語教育のあり方について、興味深い例を挙げながら示唆深い基調講演を行った。3日目の金曜日は基調講演は入らず、出版社等が後援する大掛かりなシンポジウム等が入った。特にGuardian Weekly/Macmillan が主催した‘Learning English or learning in English: will we have a choice?’では最近ヨーロッパで注目を浴びている CLIL (Content and Language Integrated Learning) の現状、是非についての議論が David Graddol 氏などを加え、活発に行われた。また、Cambridge University Press Forum として‘Everything you ever wanted to know about Applied Linguistics but were afraid to ask’という大きなタイトルで、Carol Chapelle 氏や Susan Hunston 氏などが参加しシンポジウムが行なわれたが、残念ながらタイトル負けをし、applied linguistics という分野のほんの一部を掠っただけの発表となっていた。また、同日、ELT Journal Debate として‘Common European Framework? We don't need bureaucrats to tell us what to teach!’のタイトルのもとで日本でもよく知られている CEF について、ヨーロッパの現状と照らし合わせ、活発な意見交換がなされ興味深かった。最終日にはウェールズ議会の首相である Rhodri Morgan 氏が急に当日に日程変更になった Prince of Wales の結婚式に出席する直前に駆けつけ、ウェールズ語と英語の2言語使用者として、自身のアイデンティティと強くかかわっているウェールズ語への愛着と英語の国際性について、聴衆を意識した政治家らしい配慮と話術で会場を魅了した。
以下に Conference での基調講演者名とタイトルを挙げる。

4月6日 Amy B M Tsui, the University of Hong Kong, ‘Language and Identity’
     Alison Wray, Cardiff University, ‘Idiomaticity in an L2’
4月7日 Suresh Canagarajah, the City University of New York, ‘Globalization of
      English and changing pedagogical priorities’
     Rod Bolitho, ‘British ELT and the mainstream’
4月9日 Carolyn Graham, New York University, ‘The Creative Classroom – Jazz Chants,
      Music and Poetry for Language Development’
     The Rt Hon Rhodri Morgan AM − First Minister for Wales

この他にも、今回は一般発表やワークショップの参加者として基調講演者級の参加者, 例えば Chris Candlin, Ron Carter, Guy Cook, Jennifer Jenkins, Barbara Seidlhofer, Peter Skehan, Henry Widdowson などによる発表も相次ぎ、刺激のある討論があちこちで交わされた。時期的(イースター休日の直後)なものと、地の利を得たものといえよう。

その他のプログラム上の工夫
Conference は、今回の総会で新会長となった Tessa Woodward の、なるべく早いうちに参加者同士が知り合う機会を多くしたいという意向で、基調講演の後、全ての発表がインタラクションの多い workshop でスタートした。また、最終日の午前中はこれも今回初めての試みで、テーマ別のシンポジウム(合計15)が同時開催された。参加者は登録時に希望のシンポジウムを明示しておくというシステムを採っており、それぞれの分野での研究・教育推進、及びその為のネットワーキングの機会を設けるという主旨があったのではと推測される。

その他
会場 − 100年の歴史ある格調高い Cardiff の City Hall と National Museum の Gallery 及び Auditorium が会場ということで、非常に贅沢な空間を楽しむことができたが、難点は、休憩、昼食時に参加者が気軽に腰をかけて、プログラムをチェックしたり、話し合ったりする場所が少なかったということである。
出版社等の協賛 − Conference の内容でも述べたが、出版社が大掛かりなシンポジウムを援助して開催しているケースが(個人の著者による発表のみではなく)目だった。援助を前面に出さず、議題にあがっているトピックを前面に出してうまく coordinate しているシンポジウムは非常に興味深いものになっていた。

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