ISSN 0910-0660

JACET News

大学英語教育学会

 

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July 2002   The Japan Association of College English Teachers    No.134

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【巻頭言】

人間力戦略としての英語教育改革

                        九州・沖縄支部長 長崎純心大・鈴木千鶴子

 

 近年時間の経過が早く感じられるとの声をよく聞く。加えて今年は季節の進み方が早く、桜やツツジ、紫陽花も早く咲き終わり、既に幾つかの台風にも見舞われた。このように、自然の時が何かに追われるように経過していく中で、概して社会の動きは、相も変らぬ停滞ムードから脱しきれずにいるようである。我々が携わる日本の英語教育も然り、大学の教育改革も然りで、台風ならぬ爆発的な外圧もしくは内圧を必要としているのではないだろうか。

 そのような状況の中で、遠山敦子文部科学大臣が7月12日に行った閣議後記者会見の発言は、少なくともミニ台風ほどの効果があるのではないかと期待される。その名も勇ましい「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」英語力・国語力増進プランは、その策定の経緯で組織された「英語教育改革に関する懇談会」における有識者の意見によるところが大きいと言われる。JACETの前会長・現特別顧問小池生夫先生がそのメンバーのお一人であられたことは、周知のことであるが、ここでその内容についても学会員として良く検討・理解し、その趣旨に謳われている「人間力戦略としての改革」の実施に向けて、自分なりの取り組みを行う手掛かり足掛かりにしたいと思う。

 この増進プランの骨子は、我々の課題という観点から、以下の5つの項目に要約される。 

(1)具体的な目標として、大学を出た人は誰でも、仕事の上で英語が使えるように教育する。(2)英語教員の英語力の目標値として、英検準一級もしくはTOEFL550点等を設定し、教員の質を保証する。(3)それぞれの教育段階において適切な形の留学等を実施し、学習意欲を高めるとともに、英語使用の機会を拡大する。(4)小学校の総合的な学習の時間で英会話活動を充実させる。(5)国語力を増進させ、日本語でも明確にして論理的な情報伝達と議論・討論が行えるように教育する。

 各項目そのものは文言にすると、特に新しいものでも難しいものでもないが、ワールドカップサッカーでも目の当たりにしたように、戦略(ストラテジー)なるものは全て実行されなければ意味をなさない。従って、この構想を如何にして実行できるかが真の課題である。ここで、これまでJACET会員が個人としてあるいはグループないしは学会全体として行ってきた研究活動を振り返って見ると、実はこれらの構想の実行に向けて着手されていることも多い。例えば、(1)については近年活発なESP研究、(2)は、教職課程の教育内容についての論議、(3)海外研修・留学形態や方法の研究、ならびにインターネットや衛星通信の活用による双方向コミュニケーションの実践研究、(4)も、大学教育との連携の視点から、または韓国等先行例との比較研究等、決して無縁ではなく、(5)として、ディスカッションやディベート研究、等々が挙げられよう。

 こうして見ると、今回の文科省の構想は、我々が長年の問題意識の上で内発的に実行してきた教育研究活動を、行政的にも支持する施策と受け止めるべきである。我々教育の実施者が当然行うべき改善改革を支援するのが行政の役割であることは、これまた当然至極であろう。従って、これらのプランの実施にあたっては、国家的な予算措置が伴うべきことであるが、構想の一環として「優れた英語教育カリキュラムの開発・実践等を行う大学や、特に全課程を英語で授業する大学(又は学部)を重点的に支援する」とあるのは、有り難いことであり、正直言って意欲も助長される。

 九州・沖縄支部としても、昨年は支部大会のテーマを「転換期を迎えた大学英語教育」とし、今年はさらに具体的に「我が大学の英語教育改革」ということで、既に本構想路線で前進を続けている。また、JACETの基本理念も、教育の改善、教員の質の向上、研究の深化、さらに英語教育学の評価の向上や、社会への運動・働きかけを旨とし、本構想と合致するものである。無意識に高まっていた内圧と呼応するように発生(?)した外圧、ミニ台風が、日本の上空にどのような気象変化をもたらし、どのような社会環境を創出することが出来るか注意が必要である。

                                     

【事務局便り】

20024月より小林ヒロミ代表幹事の後任として中野美知子が事務局の皆様と仕事をするようになりました。30年間総務を担当された大浜光子さんが退職され、現在次の4名の方が献身的にJACETの仕事をこなしておられます。

池尻寛子さん(会計)、沖元真由美さん(会員管理)、荒川明子さん(全国大会)と保坂佳代子(総務)です。どうぞよろしくお願いいたします

昨年度より始まった改革構想委員会を中心に、JACETが協調と共生の精神でまとまり、英語教育の改善と発達について調査・研究し、日本の英語教育のために発言し、実行していく力強い学会として維持されていくお手伝いを事務局は担っていると事務局は考えておりますので、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。 (代表幹事・中野美知子)

 

【支部便り】

<北海道支部>
1. 研究会等の開催

1)第1回研究会
日時:5月18日(土)13:00-14:30
場所:北海道大
発表1:上野之江(北海学園大)
「ビクトリア大学のCALL施設とオーサリングソフト(Hot Potato)について」
発表2:横山吉樹(北海道教育大岩見沢校)
   「電子会議室を核にした姉妹校交流-国際理解教育の実践から」

2)JACET北海道支部CALL研究会講演会
日時:6月8日(土)13:00-15:00
場所:北海学園大
講演:Dr. Lorraine C. Beaudin (Univ. of Lethbridge, Canada)
   Technology Integration and Distance Education

3)ワークショップ
日時:7月6日(土)17:30-17:50
場所:小樽商科大
講師:上野之江(北海学園大)
   「初心者のためのホームページ作成講座」

2.第1回JACET北海道支部運営委員会の開催
日時:5月18日(土)15:00-17:00
場所:北海道大
 予算・決算、行事報告及び支部大会について審議が行なわれた。15周年記念論文集について経過報告があり発行が承認された。研究会特別経費について審議され、配当が承認された。

 

3.JACET北海道支部第17回大会の開催
日時:7月6日(土)13:00-17:20
場所:小樽商科大
総会:前年度行事活動及び会計報告並びに監査報告があり、本年度行事予定及び
予算を審議した。支部役員の退任及び新任について承認された。
講演:田辺洋二(JACET会長・早稲田大)
   「矛盾する社会環境の中の英語教育」
研究発表1:中島隆智(北海道教育大旭川校)
  「文法メタファー表現と認知的体系学習理論に基づく折衷的指導の実践研究」

研究発表2:工藤雅之(札幌市立高専)
   「高等専門学校の英語教育に求められている教授法に関する考察」
シンポジウム:「大学生の英語力低下に対する防止策を探る」
 司会 高井收(小樽商科大)
 講師 要春光(北海道武蔵女子短大)佐々木勝志(北海道文教大)中屋晃(北星学園大)

4.その他
1)ニューズレターの発行
 JACET北海道支部ニューズレター第15号(JACET全国大会の特集号)が、3月31日に発行された。

2)支部15周年記念論文集の発行
 JACET北海道支部15周年記念論文集(Hokkaido JACET Journal, No.1)が6月30日に発行された。来年度以降も北海道支部紀要として発行される予定。
(河合 靖・北海道大)

 

<東北支部>
1.2002年度第1回役員会
日時:2002年6月8日(土) 12:00−13:30
場所:東北学院大
報告事項:  村田年本部理事から本部報告、全国理事会報告、事務局報告(支部会員異動、

今後の活動について)他
協議事項: 日本英語音声学会と共催の講演会、2003年度全国大会の準備について
     2002年度の第1回役員会が開催された。新年度から支部長が高梨庸雄先生(京都ノートルダム女子大・元弘前大)から幸野稔先生(秋田大)に引き継がれたことをはじめ、幹事および研究企画委員の増員など、新しい役員会体制が始動している。新任の支部役員は以下の通り:
支部長・理事:  幸野稔(秋田大)
評議員:    板垣信哉(宮城教育大)
幹事:     佐々木雅子(秋田大医療技術短期大学部)
研究企画委員: 佐久間正之(福島大)、佐々木雅子(秋田大医療技術短期大学部)、

冨田かおる(山形大)、渡部良典(秋田大)
東北支部名誉役員: 高梨庸雄(京都ノートルダム女子大)

2.2002年度東北支部大会
日時:2002年6月8日(土) 14:00−17:40
場所:東北学院大
講演 講師:村田 年(千葉大・JACET理事)
演題:「学習語彙の問題点と効果的な語彙指導」  
 シンポジウム 
 テーマ:「語彙指導の理論と実際」
 コーディネーター:  高梨庸雄(元弘前大・京都ノートルダム女子大)
 講師: 村田 年(千葉大) 高梨庸雄(京都ノートルダム女子大)梶原朋子(木造高校)
 支部大会に先立つ支部総会では、2001年度年間活動報告、2001年度決算、2002年度年間活動計画案、2002年度予算案が承認された。
 支部大会では、本部より村田年(千葉大)本部理事を迎え、JACET全体の動向と、貴重なご講演を伺うことができた。シンポジウムでは、語彙指導研究会が中心となって、語彙指導のあり方が議論された。シンポジウム参加予定であった青森県立七戸高校大山誠氏からは資料配布の形で貴重な研究データが報告された。45名の会員および一般の参加者があり、有意義な支部大会となった。

3.東北支部講演会(日本英語音声学会東北支部と共催)
日時:2002年6月29日(土) 16:10−17:10
場所:東北学院大
講師:Dr. Hyun Bok Lee (ソウル国立大名誉教授)
演題:"What Is Wrong with Japanese English ?
             -- A Survey of English Pronunciation Errors -"

4.東北支部例会(秋田英語英文学会と共催)
日時:7月6日(土) 14:00-16:30
場所:秋田大学
シンポジウム:
 テーマ:「英語科総括的評価の妥当性
           - 最終成績は本当に英語力を反映しているのか?」
      Validation of Summative Evaluation In EFL Classrooms
            Giving a final grade in EFL classrooms
        Does the English ability really really really matter?
 コーディネーター:渡部良典    (秋田大学)
 講師: 伊藤さつき  (御所野学院中学校)小嶋英夫   (秋田工業高等専門学校)
      佐々木雅子(秋田大学医療技術短期大学部)
 今年度から小中学校に絶対評価が導入されるにあたり、英語科総括的評価についてのシンポジウムは時宜を得た有意義な意見交換をする場となった。

 評価における用語の定義の理解を深め、中高大それぞれで実践と研究を進めると共に連携を保ち、学習者、教師双方に有益であり妥当性と信頼性の高い評価を実践することで、英語教育の質を高めていこうとする気概が会場に満ちた。
                                       (佐々木雅子・秋田大学医療技術短期大学部)

 

<中部支部>
1.
講演会
日時:200232日(土)
場所:名古屋女子大学汐路キャンパス
講演者:Hyun Bok Lee・ソウル国立大学
演題: "English Education Programs in Korean School System"

2. 2002
年度中部支部大会
日時:200261日(土)
場所:金城学院大学
大会テーマ:「大学構造改革と英語教育」

 2.1 特別講演:「企業が考える英語とは」梅村和宏・日本アイ・ビー・エム
 2.2 シンポジウム:「21世紀における総合的英語教育」
   司会:伊藤光彦・豊橋技術科学大学
   パネリスト:八田玄二・椙山女学園大学、松香洋子・松香フォニックス研究所、

大森裕實・愛知県立大学
 2.3  研究発表・ワークショップ  
   第一室
   1.英語閉鎖子音の有声性・無声性に関する学習上の問題について
   松浦直子・名古屋学院大学、清水克正・名古屋学院大学
   2.世界へ発信するために:英語のrhetorical style を獲得する必要性 

谷道和子・金沢大学
3
Fast Forward:  Innovations for Video Use in the Progressive Classroom
Howard Ken Higa
・中部学院大学
4
Motivationを高めるための自己評価
高橋妙子・名古屋外国語大
第二室
1
A New Challenge for a GE Teacher Tomoyasu Kimura・名古屋外国語大学
2
.保育系学生のための英語翻訳指導 小宮富子・岡崎女子短期大学
3
.教育効率向上のための構造改革 渡部友子・富山県立大学
4
.早期英語教育の新しい試み:PSアプローチの提案 的場ジュン子・エデュケーションネットワーク
第三室
1
.イギリスにおける大学評価―Quality Assurance Agency― 平尾節子・愛知大学
2
.全国統一英語試験(TEM)―中国の場合 井上裕子・北陸大学
3
A Survey on Students Responses to Team Teaching by Native/Non-native
Speakers of English
 Tetsuya Nishimura・中京大学、Paul Tanner・中京大学
第四室
JACET
中部支部待遇表現研究会ワークショップ: Native English TeachersTeacher Talkからの示唆
Support and Encouragement: Native English Teachers' Talk in the Classroom
司会:堀素子・関西外国語大学
発表者:津田早苗・東海学園大学、村田泰美・名古屋外国語大学、村田和代・龍谷大学 

2.3 評議員会
2.4
支部総会
  活動報告、活動計画、会計報告、予算案、人事、本部報告他
2.5
懇親会        

(原田邦彦・名古屋外国語大学)

 

<関西支部>
1.2002年度関西支部役員(新任及び継続):
顧問:大谷泰照(滋賀県立大)
支部長:岡田伸夫(大阪大、新)
理事:岡田伸夫(同上)、豊田昌倫(関西外国語大)
幹事:相川真佐夫(和歌山信愛女子短大、新)、藤林富郎(金蘭短大、新)、杉森直樹(大阪電気通信大)、梅咲敦子(帝塚山大、事務局幹事)
評議員:赤野一郎(京都外国語大、新)、智原哲郎(大阪女学院短大)、原田園子(神戸女学院大)、林桂子(和歌山大、新)、橋内武(桃山学院大)、日野信行(大阪大)、井狩幸男(大阪市立大)、門田修平(関西学院大)、桂文子(龍谷大)、河合忠仁(関西大、新)、木村博是(近畿大)、好田實 (金蘭短大)、河野守夫(神戸海星女子学院大)、前川哲郎(佛教大)、南出康世(大阪女子大)、森捨信(京都産業大)、野口ジュディー(武庫川女子大、新)、野村和宏(流通科学大)、沖原勝昭(神戸大)、瀬川俊一(平安女学院大)、Sell, David(京都工芸繊維大)、菅山謙正(神戸市外国語 大、新)、杉森幹彦(立命館大)、高原脩(関西外国語大)、武久文代(奈良大)、内田聖二(奈良女子大)、山岡俊比古(兵庫教育大)、吉田信介(摂南大、新)
研究企画委員:東眞須美(神戸芸術工科大)、濱嶋聡(園田学園女子大、新)、林宅男(桃山学院大、新)、井田秀穂(同志社大)、石川保茂(京都外国語大、新)、松浦勉(大阪青山短大、新)、村田純一(神戸市外国語大)、中西義子(大阪国際大)、小栗裕子(滋賀県立大、新)、高木佐知子(大阪府立大、新)、高橋寿夫(関西大)、竹内理(関西大)、時岡ゆかり(大阪産業大)、植松茂男(摂南大、新)、横川博一(京都外国語大、新)
会計監査:長谷川明子(大阪キリスト教短大)、貫井孝典(金蘭短大、新)
各種委員:JACET賞選考委員:杉森幹彦(同上、新)
広報・通信委員:東眞須美(同上、代表)、時岡ゆかり(同上)
電子情報化委員:木村博是(同上)
紀要編集委員:瀬川俊一(同上)
関西支部紀要委員:瀬川俊一(同上、委員長、新)、赤松信彦(同志社大、新)、

井狩幸男(同上、 新)、宇佐見太市(関西大、新)
研究会担当委員:井狩幸男(同上、代表、新)、梅咲敦子(同上、新)
JAAL in JACET委員:門田修平(同上)
国際交流委員:野口ジュディー(同上)

主な活動:
a) 第1回研究企画委員会:2002年6月9日(日)10:00〜11:30; 於、関西大学
 議題:年間活動計画、春季・秋季支部大会等について
b) 2002年関西支部春季大会:2002年6月9日(日)13:00〜17:40; 於、関西大学
 大会テーマ:「英語教育の意識改革ーーJACETの使命ーー」
 当日のプログラムはワークショップ2件、研究発表3件、支部総会、講演から成り、123名の参加者を得て盛会であった。
 ワークショップ:

1)「英語学研究の英文法指導への応用」司会:岡田伸夫(同上)

発表者:菅山謙正(同上)、赤野一郎(同上)、岡田伸夫

2)「授業の活性化をめざしてーーESP的アプロ−チに基づく
 教材作成の実際ーー」司会:椋平淳(大阪工業大)、発表者:椋平淳(同上)、渡海淳子(近畿

大)、松岡結(近畿大)
 研究発表:司会:林宅男(桃山学院大)

発表:1)京都教育大院生Yang Tao: Turn-taking Analysis of Japanese EFL Learners’English、2)京都工芸繊維大Paul Hackshaw: Reliability studies on preparation TOEIC tests used for teaching TOEIC at a Japanese university、

3)京都外国語大 石川保茂、大阪外国語大院生谷村緑、三重大吉田悦子、園田学園女子大中戸一子「Pear story再考ーー日 英語における指示表現の選択とその要因について」。

この後、支部総会、田辺洋二JACET会長による講演「JACETと大衆化する英語教育」があった。

総会において審議された議案のうち、重要な事項の一つに関西支部紀要の投稿に関する件がある。 2001年度に運営委員会において作成された原案が総会で承認され、従来の各研究グループの研究集録に新たに投稿原稿を加え、2本立てにすることになった。『JACET関西紀要』(JACET Kansai Journal)の投稿規定の詳細はJACET-Kansai Newsletter, No.15に掲載。
c) 講演会:2002年5月24日、於、帝塚山大学、講師:Anthony Fox(Univ. of Leeds)、

演題: Do we all speak different languages?
d) 第1回談話会:2002年7月6日(土)、於、コープイン京都、講師:京都外国語大赤野一郎、

演題:「コロケーションを中心とした明示的な語彙指導ーーコーパスの視点からーー」
e) 第1回運営委員会:2002年7月6日(土)、於、コープイン京都
 議題:2003年度春・秋季支部大会について、今後のJACETのあり方について

今後の(主な)予定:
 2002年関西支部秋季大会:2002年10月13日(日)、於、神戸市大学共同利用施設「ユニティ」。ワークショップ、研究発表等の募集についてはJACET-Kansai Newsletter No. 15に詳細を掲載。シンポジウムのテーマは「IT時代の大学英語教育」であり、3名のパネリストを予定している。

    (時岡ゆかり・大阪産業大、東眞須美・神戸芸術工科大)

 

<中国・四国支部>

1.中国・四国支部役員会

日時:6月8日(土) 15:00〜17:00

場所:高知ホテル

議題:1 2001年度の事業報告,2001年度決算,2002年度予算案の確認

2 2002年度の事業計画

3 2002年度の支部役員

4 JACET研究会「アジア地区大学英語教育研究会」について

5 第19回支部大会について

6 第20回支部大会について

7 中国・四国支部の将来構想について

 

2.中国・四国支部第19回支部大会

日時:6月9日(日) 10:00〜15:30

場所:高知工科大学

1)研究発表: “A Survey of Technology University Students’ Attitudes and Motivation for Learning English”  明神千代(高知工科大学)

2)研究発表:「日本語作文と英語作文の対照研究――日本人大学生の物語文に見られるglobal text structureを中心に――」高路善章(九州国際大学)

3)研究発表: “Social Constraints for Adult Second Language Learners”  Etsuko Scully (University of Shimane)

4)研究発表: “Remarks on the Function of Discourse Markers – with particular reference to I mean --”  Itsuko Koshi

5)研究発表: “A Corpus-based Analysis of Reporting Verbs in Three Different Genres”  Michiko Yoshikawa

6)シンポジウム:「大学英語教育のアカウンタビリティ」

(a) 「大学の外国語教育「再生」と「評価」」 田中正道(広島大学情報メディア教育研究センター)

(b)「共通教材,共通シラバス使用の英語カリキュラム」 荒瀬美佐子(立命館大学 理工学部)

(c)「千葉大学における英語教育の改善について」 久保田正人(千葉大学外国語センター)       

  (鳥越秀知・詫間電波工業高等専門学校)

 

<九州・沖縄支部活動報告>

 6月29日(土)に、西南学院大で春季支部総会と特別講演会を開催した。Dr. Woo C. Lee (Principal Officer of American Consulate, Fukuoka)に"English Education Policy in Asia"の演題で講演頂いた。
 7月13日(土)に、Dr. Michael Long (Univ. of Hawaii at Manoa)とDr. Catherine Doughty (Univ. of Hawaii at Manoa) とをお招きし、西南学院大で学術講演会をLET九州支部との共催で開催した。演題は、"Current Issues in Task-Based Language Teaching"(Dr. Long)と"Principles for CALL Design" (Dr. Doughty)であった。
 海外の学会との学術交流で特筆すべきは、本支部からRELC(第37回International Seminar)に山内ひさ子氏(久留米工大)が、YETAに金森強氏(長崎ウエスレヤン大)と中野秀子氏(九州共立大)とが出席し研究発表をおこなったことである。
 本支部を母体とする研究会の主要な活動としては、「ESP研究会」による『ESPの研究と実践』の出版、7月6日(土)の「英語とコンピュータ研究会」と「英語授業研究会」共催によるDr. Kyutae
Jung (Hannam Univ.)の県立長崎シーボルト大におけるワークショップ ”The Internet as a medium of teaching English at University” 開催があげられる。
  なお、10月12日(土)には、筑紫女学園大で第17回支部研究大会が開催される。大会テーマは「我が大学の英語教育改革」で、多くの充実した研究成果の発表が予定されているので、九州・沖縄の会員諸氏とともに他支部のJACET会員のご出席を歓迎する。
  本支部の詳細な活動状況や今後の活動計画、支部紀要などに関する情報については、次のURL
(http://www.n-junshin.ac.jp/jacet)を参照していただきたい。

                 (上村俊彦 県立長崎シーボルト大)

 

 

JACET月例研究会】

学習意欲を高めるインターネットを利用したCALL授業
 ーマルチメディアによる授業観・教育観の変容ー

 

 学習者が興味・関心をもって英語学習に取り組めるようにするには、どんな英語Webサイトをどのように組み合わせて授業で活用したらよいのかについて、東京電機大学のCALL教室において、参加者にインターネットに接続されたパソコンを操作してもらいながら、以下のような指導法について具体的に解説した。 
・個々の学生が読みたいと思うトピックを選択してオンライン英字新聞の概要・要点を把握させる指導
・興味・関心に応じて学生が読みたい作品をインターネット上の電子図書館から検索・入手して進める多読指導
・学習者が入力した解答が自動採点されて結果がフィードバックされるinteractive な読解練習サイトの活用
・人気の高い洋画の名場面を使ったリスニング指導
・日本アニメに関する英語サイトに掲載されている英文スクリプトと英語吹き替え版ビデオやDVDを使った速読とリスニングを連結した指導
・外国人が出すFAQ (Frequently Asked Questions)を題材にした異文化理解を促進させる指導
 さらに、学生が教師の手助けを借りずに、できるだけ自立して国際交流学習や共同学習が進められるようにするためのリンク集「自立的な交流学習のための7つ道具」(検索エンジン、電子辞書・百科事典、英文表現集、語法・文法Q&A、自動翻訳、英文自動読み上げ、セキュリティー対策)も紹介した。また、教員や大学院生などが英語教育関係の実証的なリサーチをするときに役立つような、テーマの設定、先行研究や文献の収集、オンラインのデータ自動分析、オンライン投稿できる電子専門雑誌、代表的な学会などのWebサイトも紹介した。
 最後に、IT時代における学力観や授業観や教育観は、従来のものに比べてどのように変わっていくのか、その変容をもたらした要因は何かについて考察した。

 なお、今回の発表で紹介したWebサイトは、「インターネットを活用した英語授業・英語教育研究リンク集」(http://www.tiu.ac.jp/~yyama/)からアクセスでき、各Webサイトの授業での具体的な活用法や教育観の変容については、拙著『IT時代のマルチメディア英語授業ーCD-ROMからインターネットまでー』(研究社)に詳述されている。         

(山内 豊・東京国際大学)

 

【お知らせ】

<新刊書案内>
 1.『「先進諸国」の外国語教育:日本の外国語教育への示唆』
           編集発行 JACET関西支部「海外の外国語教育」研究会
 諸外国では、一体どのような外国語教育政策がとられているのだろうか。わが国の外国語教育政策は、海外から見るとどのような問題点があり、そして今後どのような方向に向かうべきなのか。本書は、1999年に発行した『東アジアの外国語教育(資料)・日本の外国語教育診断』に続く第2弾である。前回の「言語・文化的」に類似点が多い「東アジア諸国」から、今回はむしろ「経済的」レベルで類似点の多いいわゆる「先進諸国」を取り上げた点が特徴である。それらの国々を手鏡とすることによって、わが国の外国語教育のありようを問い直すための新しい視点と有効な手がかりが得られると考えるからである。
 本書は2部から構成されている。第1部ではヨーロッパ連合と、ドイツ、スペイン、オランダ、イングランド、スイス、カナダ、アメリカ合衆国、オーストラリア各国の外国語教育の最新の事情について、外国語教育の歴史・変遷、教育政策・教育制度の現況、教科書・教材の実態、教員養成・教員資格のあり方、語学力の評価方法などの諸点から検討し、日本にとっての示唆を「考察・所感」としてまとめている。第2部では、第1部の内容を踏まえ、日本の外国語教育の問題点と、今後のあるべき姿を示そうとした。さらに早期外国語教育について、2001年度JACET全国大会でのシンポジウムの討議をまとめ、全体を締めくくっている。
  B4版・全185ページ   分価1,000円(非市販) 送料310円
 問い合わせ先:相川真佐夫(「海外の外国語教育」研究会連絡係)
        Tel & Fax:073-447-2396 E-mail: aikawa@nnc.or.jp

 

 2.日英比較英単語発想辞典(Japanese & English Denotation & Connotation)

      三修社 \2,500 奥津文夫編集、村田年、清川英男、池田和夫執筆

 (一口コメント:一気に読んだ。英語上級者にとってこれ程、有意義で、楽しく、且つ必読の書はめったにないのでは。)

 

 3.言語文化教育学の可能性を求めて (On the Future of Language and Culture Education)

     三省堂 \6,667 森住 衛監修 

 (一口コメント:大阪大学大学院院生9名による編著。各種重要なテーマを掘り下げている。)

 

<教員募集>
英語担当の教授、助教授、または専任講師1名。2003年4月1日採用。
応募資格:英語を母語とし、相当の日本語能力を有するもの。英語教育に経験豊なもの、他。
応募締切:2002年8月30日(金)

問い合わせ:〒235-0021 横浜市磯子区岡村4-15-1

神奈川県立外語短期大学 事務局管理課(TEL 045-741-9941)

 

2002年8月14日発行

発行者 大学英語教育学会(JACET)            代表者 田辺 洋二

発行所 〒162-0831 東京都新宿区横寺町55

電話  03-3268-9686 FAX 03-3268-9695      Http://www.jacet.org/

編集  JACET広報通信委員会