The 37th SEAMEO RELC
International Seminar 報告
報告者: 山内ひさ子
派遣先学会:The 37th SEAMEO RELC International Seminar
学会開催場所: SEAMEO Regional Language Center,Singapore
学会開催期間: 2002年4月22日から4月24日まで、3日間
派遣者名: 山内ひさ子
勤務校: 久留米工業大学 (福岡県久留米市上津町2228)
所属支部: 九州・沖縄支部
(支部研究企画委員、国際交流委員)
1.参加学会について
The
37th SEAMEO RELC International Seminar はSEAMEO(the
Southeast Asian Ministers of Education Organization)により設置されたRELC(the
Regional Language Centre)が毎年開催する学会で、今回で37年目、37回目の国際学会である。SEAMEOへの参加国は、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリッピン、シンガポール、タイ、ベトナムの10カ国である。これらの国々からは各国教育相や教育相代理からなる公式代表団の10名も参加している。また、協力国としてオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、ニュージーランドおよびオランダが名を連ねている。今回の参加者は、26カ国、600余名であると発表された。
2.学会の構成について
今回のセミナーのテーマは“Methodology
and Materials Design in Language Teaching: Current Perceptions and Practices and
their Implications” であった。招待講演者として8名の学者・教育者の講演は、3名又は2名が同時間帯に行われた。研究発表は87件あったが、約10件ずつが同時進行であった。30件のワークショップも10件ずつ同時進行であった。また、最終日に2件のパネルディスカッションが同時進行であった。招待講演者はほとんどが、60分の講演、研究発表、ワークショップ主催、およびパネルディスカッションのパネラーのすべてを担当していた。私は2日目(23日)、午前8時30分からのセッションで研究発表を行った。
3.気がついたこと
(1) 東南アジア諸国は英語を第二国語あるいは公用語として用いる国が多々あるせいか、
World Englishes の考えが強い様である。そのため英語学習者教材に用いるモデルスピーカーとしては英語を母国語として話す人ではなく、自国の人で英語教育を受けて上手になった人を使うようになったという。
(2) アカデミック イングリッシュ を担当する教師達が口をそろえ重要性を指摘していた分野は vocabulary と form であった。これらが十分でなければ、ちゃんとしたコミュニケーションが図れない。特に英語圏の大学に進学する場合に必要な英語力の養成のためにはこれらが不可欠で、アカデミックな内容は英語を使って話せないし、書けないという主張であった。文法の専門家でないので、間違っているかもしれないが、文法のことを grammar という言葉を用いずに form と読んでいる点がコミュニケーションに必要な文法事項と旧来の文法を区別しようということなのかと思った。
(3) 研究発表はAbstractによる審査の他、セミナーの1ヶ月前に full paper を提出させることになっている。また招待講演者の講演についても同様にセミナーの1ヶ月前に full paper を提出させることになっているので、どの研究発表も講演も質が高く、与えられた時間を有効に使った発表であった。
(4) ワークショップは、文字どおり参加者に実際に作業をさせて、指導者の教育方法を実体験させるものであった。
(5) 私が参加したパネルディスカッションは、テーマが “What is the role of materials development in translating good theory into good practice” であったが、パネリストがそれぞれテーマに関する自分の発表するというような形式を取らず、まず、@参加者に論議を招くようなstatementを与える、Aこれについて2〜4分間近隣の参加者同士で話し合いをさせ、Bその後、参加者のこのstatementに対する意見を発表させ、C最後にパネリストがそれぞれ一言ずつ意見を述べると言う形式で行われた。論議を招くstatementは、例えば、「良い教材は教師が授業のために準備を全く必要としないような教材である」というようなものであったが、60分間の制限時間内に4つ提示された。この形式については、前日パネリストの打ち合わせの時に、パネルディスカッションはいつもたいへん退屈なので、何か違った形式にしようということになり、このような形式にしたそうである。
4.セプション、休憩、昼食、セミナーディナーなどについて
第1日目の開会式の後、と最終日の閉会式の後にレセプションが催され、軽食が振る舞われた。また、2,3日目には午前と午後に1回づつ30分のコーヒーブレイクが設けられ、飲み物とお菓子などが用意された。昼食は3種類(中華スタイル、イスラム教徒スタイル、菜食主義者スタイル)に別れ、レストラン、食堂、ホールなどを使っていっせいに取る方式となっていた。セミナーディナーは招待講演者、各国代表団、JACETなどの交流陣および主催者およびその他の一般参加者などが参加して行われた。招待講演者や各国代表団などのテーブルはフランス料理のフルコース、一般参加者のテーブルはバイキング方式であったが、バイキング方式の方が料理の種類など大変豊富であった。
5.展示販売等について
RELCより出版している書籍や、ケンブリッジ大学出版等コーナーが設けられ、書籍販売
ロビーなどを使って行われていた。また図書館では、ESL/EFL関係の図書の展示が行われ
ていた。
招待講演者の名前と演題
Beverly Derewianka, “Designing an On-line Reference Grammar for Primary English Teachers.”
Amos Paran, “Teaching Learners to be Critical: How Coursebooks can Help”
Richard Day, “Authenticity in the Design and Development of Materials.”
Denise Murray, “Materials for New Technologies: Learning from Research and Practice.”
Erwin Tschimer, “Skill, Scope and Sequence: Rethinking Grammar in the IT Age.”
Brian Tomlinson, “Humanizing the Coursebook.”
Andrew Gonzalez, “ESL Materials for Use in Philippine Primary and Secondary Schools: the Fourth Generation.”
Gloria Poedjosoedormo, “Developing Oral Communication Skills Training Package: Process and Product; Problems and Solutions.
派遣先学会:韓国英語教育学会(The Korea Association of Teachers of English, KATE)
会議名称と大会テーマ:2002 KATE International Conference
“Understanding Philosophies in English Language Education”
開催場所:韓国釜山市BEXCO会議場(BEXCO Convention Center, Busan, Korea)
開催期日:2002年7月5、6日
派遣者名:早坂慶子(JACET北海道支部)
勤務校(所在地):北星学園大学(004-8631 札幌市厚別区大谷地西2丁目3-1)
1.大会
国際会議場BEXCOは、折りしも上陸した台風の強風と激しい雨にもびくともしない、堂々とした大きな建物である。その2階を会場として本大会は催された。
世界10カ国からの招待講演者による基調講演8、研究発表12、会員による研究発表が37そしてフォーラム1という盛りだくさんのプログラムで、朝9時半から夕方7時近くまで会場は参加者でにぎわっていた。
大会テーマに沿った基調講演、研究発表のいくつかについて、その概要と印象を簡単に紹介する。まずProf. Andrew Cohen (Univ. of Minnesota, U.S.A.)による“Learning Style and Language Strategy Preference: The Role of the Teacher and the Learner in English Language Education”。骨子はEFLにおける学習スタイルとストラタジ―、そしてタスクがこれらに及ぼす影響。さらにはタスクを通して学習者の動機付けを高めるための教師,学習者双方の役割。最後に具体例として,学習スタイル,ストラタジー、動機付けの関連を、Mini-lectureにおけるoral vocabulary学習に現れる違いを例にとって説明した。氏の情熱的な語り口に、聴衆一同すっかり引きこまれた様子であった。
次にProf. Paltridge (Sydney Univ. Australia)の話は、セッション “Genre Knowledge and the Language Learning Classroom”と基調講演”Understanding Philosophies in English Language Education in Australia”の両発表で英語教育におけるGenreがテーマ。特にオーストラリアの英語教育については、Needs-based Teaching, Competency-based Teachingを踏まえたうえでのGenre-based Teachingの重要性を説く氏の語り口に説得力があった。
Prof. Brumfit(Southhampton Univ., UK)の基調講演”Global English and Language Teaching: Has Everything Changed?”で氏は開口一番「みなさん、どうぞ私と一緒に考えながら聞いてください。」と述べ、一言一言噛み締めるように聴衆に語りかけた。あとで伺ったところでは、これまでいろいろな講演を経験し、このスタイルに行き着いた、ということのようである。聴衆一同、吸い込まれるように氏の話に聞き入っていた。
大会は進行を含めてすべて英語で行われ、英語教師の国際学会にふさわしいものであった。各セッションの議長および発表者担当の司会者などのチームワークがよく、進行が非常にスムーズに行われた。大会運営という点からも質の高いであったとの印象を強く持った次第である。
2.その他
2日間の大会は、それまでの準備に対する努力が十分に伺い知れるような、よく組織されたものであり、大変気配りのきいた大会であった。招待講演者10数名はセッション外でも食事の席などで折に触れ歓談する機会があり、大変有意義な場が提供された。
派遣先学会:韓国英語教育学会(The Korea Association of Teachers of English,
KATE)
会議名称:2002 KATE International Conference
開催場所:韓国釜山市BEXCO会議場(BEXCO Convention Center, Busan, Korea)
開催期日:2002年7月5、6日
派遣者名:鈴木 博(副会長)
勤務校(所在地):中部大学(非常勤講師)(487-8501愛知県春日井市松本町1200)
住所:192-0912東京都八王子市絹ヶ丘1-5-1
1.会議について
台風の余波で天気には恵まれなかったが、700名を超える参加者を集め、熱気に溢
れる会議であった。参加者の6割が女性で中高の先生も多かったようである。海外か
らの招待講演者は、英国3名、米国2名、日本2名、イスラエル、豪州、中国、香港、
台湾、タイ、フィリピン各1名の14名で、それぞれが全体講演、研究発表、フォーラ
ムの全てまたは一部を担当した。2日とも午前3コマと午後の1コマが全体講演に、
その後が研究発表にあてられた。研究発表は4会場同時並行でそれぞれ6件の発表
が30分づつ行なわれた。2日目の最後は全体講演者中心のフォーラムとKATEの会員総
会があった。その総会で現会長Hyo-Woong Lee氏が任期満了で会長職を退き、翌日か
らは新たな体制で動き出すとのことであった。International Conference なので使
用語は英語のみ。
多くの参加者に強い印象を与えたのは、イスラエルのBar-Ilan 大学のBernard
Spolsky であった。会議の主題であるUnderlying Philosophies in English
Language Educationに見合った演題Globalization, Language Policy, and a
Philosophy of English Language Education for the 21st Centuryのもとに、英語
が実質的に世界語となっている理由について諸説を説明したあと、さまざまな要因が
複雑に関係した結果であると結論づけた。英語が韓国語に脅威となるかの問題に関し
ては、家でも英語を話す家庭がかなりの数に達したら、また、社会生活の主要な場で
書き言葉だけでなく話し言葉として多くの人が常時英語を使うようになったら、脅威
となるであろうとのことであった。そして、生活の全ての面で英語を使うのでなく、
特定な場面での英語の使用を考え、bilingual でなく plurilingual person となる
ことを勧めていた。パーティーや朝食で何度も隣に座って話す機会があり、氏の暖か
い人柄に触れられたのは望外の幸せであった。
実践的な内容の講演ではハワイ大学の Richard Day のWhy Youngkyu Can’t Read
に人気が集まった。日本での体験も交えて、extensive reading の効用を力説し、そ
れを成功させる10の原則を紹介した。私もここ3年間extensive reading を実施し、
氏のほぼ全ての原則を実践していたので共感を覚えた。氏の研究発表には会議全参加
者の半数近くが集まり、急遽会場を全体会議場に変更した程関心を呼んだ。
ミネソタ大学のAndrew D. Cohen の Learning Style とStrategy に関するものも
良かったが、その他の講演もそれぞれ多くの示唆を与えるものであった。特にアジア
諸国の英語教育に関するものは各々異なりながら共通した背景、課題を抱えている国々
のことなので、日本の現状と重ね合わせながら興味深く聴いた。韓国の小学校英語教
育は韓国の人たちの大きな関心事であり、曲がりなりにも今年から小学校での英語学
習が始まった日本にとっても大問題なので、それに関する講演と研究発表を集中的に
聴いて回った。中でも大学教員が行なった2つの異なった調査はほぼ同じ結果を得て
いて、英語で英語を教える文部省の指導が問題を含みながらも着実に浸透しつつある
ことを示していた。それを裏書きするようなデモ入りの小学校の英語教員による研究
発表は実に魅力的であった。授業で使うゲームをいろいろと紹介して呉れたががいず
れも児童生徒の飛び付くものでしかも自然に英語が身に付くよう工夫を凝らしている
のが良く判った。教師の英語は不十分でもその熱意と愛情に満ちあふれた指導に関す
る発表に満員の聴衆から暖かい声援と拍手が巻き起こった。しかし、KATEの役員に訊
ねたところ、「小学校の先生たちが皆があのようだったら良いのだが、未だとてもそ
こまでいっていない」と言う。それが現実のようである。
2日目最後のプログラムForumではUnity か Diversity かというAILA99 Tokyoの主
題と同じことを話し合い、両方向へ進むという結論?となった。また、教師はnative
がいいか non-native がいいかも話題になり、well-trained teacher ならどちらで
もいい、untrained native teacher より trained non-native teacher の方がいい、
native teacher はその国の国民性まで知らないと良い教育はできない、等の意見が
出され、JET programで7千名もの native speaker を招いている日本にとっても当て
はまる話し合いであった。
2.その他の面について
Conference Bookが充実していた(A4版289頁)。会議のレベルが高かった。プログ
ラムが時間通りに進行した。空港での出迎えとホテルへの案内およびホテル〜会議場
の移動に関する配慮が行き届いていた。ホテル滞在が極めて快適であった。懇親会と
招待講演者対象のリセプションと昼食会が盛大であった。会議終了翌日の釜山ツアー
は会長自ら案内するという歓待ぶりであった。以上は招待講演者が口々に言っていた
ことで、私も同感である。
展示は10社ほどで、出版、ソフト関係のみであった。全体会議と研究発表が開催さ
れたのと同じフロアーであったため、いつも賑わっていた。即売もされていた。当然
ながら小学校向けの教材が多かった。
3.招待講演および研究発表 (講演、発表順)
・Bernard Spolsky (Bar-Ilan Univ., Israel): Globalization, Language Policy,
and a Philosophy of English Language Education for the 21st Century およ
びDangerous Driving: The Use of Examinations to Drive Education
・Richard Day (Univ. of Hawaii at Manoa, USA): Why Youngkyu Can’t Read およ
び Putting Extensive Reading into the L2 Curriculum
・Peter Grundy (Durham Univ., IATEFL): Teaching Materials: Questioning the
Underlying Philosophy およびLanguage through Literature (Workshop)
・Li Yinhua (Fu Dan Univ., China): ELT as Viewed from a Chinese Perspective
・Christopher Brumfit (Southampton Univ., UK): Global English and Language
Teaching: Has Everything Changed? およびEducational Language Policy and
Individual Freedom
・Andrew D. Cohen (Univ. of Minnesota, USA): Learning Style and Language
Strategy Preference: The Role of the Teacher and the Learner in English
Language Education およびStrategies in Learning Pragmatics: A Research Study
in Planning
・Brian Paltridge (Sydney Univ., Australia) Underlying Philosophies in
English Language Education in Australia およびGenre Knowledge and the
Language Learning Classroom
・Rosamond Mitchell (Southampton Univ., UK)
・Hiroshi Suzuki (Chubu Univ., Japan): Self-Instruction with the English
Intonation Learning System
・David Carless (Hong Kong Institute of Education, Hong Kong): The Untapped
Potential of Assessment for Learning
・Dinah Mindo (Philippine Normal Univ., Philippines): A Century of English
Teaching in the Philippines
・Johanna Katchen (National Tsing Hua Univ., Taiwan): A Preliminary Study of
Student Use of DVDs with Web Support
・Keiko Hayasaka (Hokusei Gakuen Univ., Japan): Spokenness of English E-mail
and Writing
・Suchada Nimmannit (Chulalongkorn Univ., Thailand): Students’ Beliefs and
Self-Esteem: The Success Factor in Learning to Give Presentations in English